祝・新成人に贈る言葉
各教団指導者の祝辞から


 今年の新成人は152万人(総務省)。1月11日を中心に、各教団で成人式が催され、祝意に満ちた式典が執り行われた。教団の指導者からは、未来を担う信仰青年たちを祝い期待する言葉が贈られた。その祝辞(要旨)のいくつかを紹介する。

円応教 
経典に学び行い祈念 深田 充啓教主(成人式 11日)
 今年は教団85周年、円応青年会50周年という節目の年です。この年に成人式を迎えられることを心よりお祝い申し上げます。
 本年は申年です。悪いものが去る。日光東照宮の申は「見ざる・言わざる・聞かざる」ですが、私は「よく見て・よく聞いて・よく話す」ことが大切だと思います。
 今日は教典の292項「皆偉い人になる人は親の申されること聞く人が
 先で偉い人になられます また学校の勉強もよくできます また行儀よく品行よくして下され頼みます またお連れの子たちも善きこと習われるようにして品行よくして下され 親の言うこと聞かれん子供衆は 病気またけんかまたけがしられます なるべく親御様の申されることよく聞く人が 先は善きことが我知らずあります」についてお話したいと思います。
 「親のいうことを聞く人が偉い人になれる」とあります。両親のような血族的な親。そして、育成的な親、教団では教えのもとであります御教祖様、皆さんの師匠である教会長、習い事をしておればその先生方、信頼する目上の親、その方々がみんな育成的な親といえます。その方々のことをよく聞く。
 そして「先で偉い人になられます」とありますが、「偉い」という意味もたくさんあります。政治家になることが偉いのではありません。御教祖様がいう「偉い人」は、人様のために何かさせていただき、喜びと楽しみを与えさせていただく行いができる人、人様に信頼され尊ばれ、さまざまなことに耐えられる人です。
 また「行儀よく品行よく」は、人間の人格、人間性は毎日毎日の積み重ねでつくられます。誰から見られても良い品行、品性をつくるように、そして、社会のためにお役に立てるような人になるよう、皆さんに喜んでいただける行いができる人になるように祈念いたします。

解脱会 
神と自分の心に誓う  岡野 聖法法主(成人式 11日) 
 成人者の皆さま、おめでとうございます。
 この日は、満20歳となった皆さん若人が、法律的に国民として権利と義務を持つことを認められて、自分自身の判断と責任と努力において、これからの皆さんの充実した一生を送ることを、神さまと自分の心に誓う日です。
 今日まで育てていただきましたご両親、そしてご兄弟、そのご先祖、菩提寺、寺院各社にお参りできたことを、皆さんが感謝すると同時に、親や親族や先輩からも皆さんに対して感謝されることもあります。
 たとえば、今朝の読売新聞(投稿欄)にこう載っておりました。
 「子供たちに感謝」(自営業・女性51歳)は、先の見えない不安から子ども二人と死のうとした母が幼い息子の一言で死を思いとどめ、その子たちも無事成人になったという、母親から子供に対する感謝の話です。
 もう一つ「祖母を亡くして」(主婦51歳)は、成人式の前夜に祖母を亡くし、成人式に出られなかったが、お通夜などを通して本当の意味で大人になったと思った話。皆さんがお母さんに対して感謝すると同時に、親からも感謝されるということを考えますと、成人の日とは非常に大切ではなかろうかと思います。
 「成人の日」は新成人になった人に限ってお祝いする。そういう意味で、新しい出発の大切な日であると思います。皆さんは、解脱の信仰青年ですから、これから特に男性は青年部、女性は女性部の誓いを心から守っていけばそれでよい、と信じます。
 多くの先輩の導きをいただいているので、明るく楽しく元気よく、若人らしく胸を張って未来へ向かって前進されますよう、心から期待します。

修養団捧誠会  考える習慣づけを 出居 茂総裁(成人の日の祝い 11日)
 自分について、人生について世界について考える習慣をつけて下さい。その習慣をつけることとともに、自分だけよければよい、あるいは今さえよければよい、そういう方向へ考えがいかないように訓練をして下さい。
 私は1929年に生まれ、9月の誕生日で75歳になります。20歳になってから55年が経ちました。55年間、自分と人生と世界ということについて考えてまいりました。振り返ってみると、そういうことを考える習慣をつけたことで自分の人生がいつも生き生きとしていた。今でもそうです。
 本日、新成人の皆さまに「みおしえ」を差し上げました。本を開けたところにささやかな言葉「成人を祝し、未来を託す」を書きました。「みおしえ」を開いて見ていただければ、人生や世の中のことについていろいろな考えが書いてあります。一番よい教科書です。
 読むだけでなく、書かれたことについて少し物事を考えていくことを20歳を過ぎたら始めていただきたい。それがあなた方の人生にもっとも有効にはたらいてくれることと思っています。成人になって、地球上の人類の未来を託されたのだとの気持ちを持っていただきたい。
 戦後、自衛隊ができて初めてイラクに派遣されました。こういう事態になって、皆さんも何か考えてみようという習慣をつけて頂きたい。
 私は第二次世界大戦を最初から最後まで目撃し、見たり、聞いたり、学んだりいたしました。勇んで出かけていったわれわれの先輩は、すべて昭和天皇の命令によって戦場に赴いたのです。その点から考えてみれば、自衛隊の皆さまがこたえるその命令とは先の戦争と違って天皇の命令ではありません。日本の体制はすっかり変わったという思いがいたします。
 そのなかで生きている私どもですから、やはり自分、世の中、人生、世界について、自分も考えてみようという年にしなくてはならないと思います。

妙智會 
「熱力」という教示 宮本けいし理事長(成人式 18日)
 成人者の皆さん、本当におめでとうございます。やっと20歳になったのか、もう20歳になったのか、各自によって違うと思います。
 私も今日、会長先生のお慈悲を頂き導師のお役を、さらには会長先生のお慈悲の記念品を皆さまにお渡しさせて頂きました。私も28年前、皆さまと同じように本部で会長先生、当時の理事長先生から成人の記念として直筆の色紙「熱力」(ねつりき)という二文字を頂きました。今でも私の宝物の一つであり、自分の力が薄れた時には、色紙を見て自分に叱咤激励しています。
 「熱力」という言葉は、成人者にということで、会長先生がご神力でお言葉をお創りになったのです。
 今日はこの会長先生から頂戴した「熱力」というお言葉を皆さんにお贈りいたします。
 今、私たちは頭で考えすぎてしまい、この熱力が足りないのです。また、熱と力があっても正しく表現できず、社会の規範から外れた形で表現する若者が増えています。それは今年の一般の成人式でも見られました。
 人は一人では立てません。相手があってこそ、自分の存在価値が見出せるのです。
 会長先生は「お経の功徳によって自分を正しく表現する力が頂けます」とご指導下さっています。しっかりとお経をあげて、自分の心、表現したいことを素直に相手に伝え、相手に喜んでもらえる自分づくりにさらに精進してください。

霊波之光 
悔いのない人生を 波瀬 敬詞教主(成人の集い 12日)
 「成人の集い」で波瀬敬詞二代教主の成人への「お言葉」を、今泉信二副理事長は次のように伝えた。
○大人になったという自覚をする日
○お祝いとして、御守護神様から色紙を頂いた。
○御守護神様を求める心を培う。
○立派な社会人になるように。
○大人の自覚として法律が適用される。共同生活を、法律を守って社会生活を送っていただきたい。
○喜びを両親に伝える感謝の気持ちをもってほしい。霊魂の親である御守護神様には感謝を申し上げた。肉体の親である両親に感謝する心を持ってほしい。
○今日ありて 明日また 暗き人生を 守護したまえと 祈る真心
 「必ず人生すばらしくひらかれていきますよ」
○浮き世とて あだなす時の 悲しけれ 照も曇るも 己なりけり
 「これからの人生は己なりけり 必ず素晴らしい人生、悔いのない人生となるよう歩んでいただきたい」


コルモス
第50回記念研究会議開く 宗教音楽の可能性

 現代における宗教の役割研究会(コルモス、上田閑照会長)は12月26、27日の両日にわたり、第50回記念研究会議を開催した。今回のテーマは「宗教と芸術−宗教音楽の可能性」。
 コルモスは1971年に設立されて以来、年2回研究会議を開催、88年からは年1回開催、今回が50回目となったもの。今会議は記念研究会議と銘を打ち、講演やパネルディスカッションのほか、記念公演が行われ、ピアノや声楽、シンセサイザーの演奏があった。
 26日の午後、開会のあと、上田会長が「宗教と芸術」と題して記念講演。宗教と芸術を結ぶものとして「死が迫ってきた時は、美しいものを見て死にたい」という言葉を紹介、「それは死に行くところが示されている美しさ」であると述べた。
 ついで、記念公演が行われ、作曲家の大谷千正ソルボンヌ大学客員教授がピアノと映像、録音音声を駆使して「東洋の響き 西洋の響き」と題して、西ヨーロッパにおけるグレゴリオ聖歌の成立と、日本における声明を対比して解説した。
 このあと、関西二期会の花月真さんと野村由美さんが山本由希子さんのピアノで「念仏」や「レクイエム」を披露、作曲家の森琢磨さんもシンセサイザーで参加、ミニコンサートとなった。
 27日は、園田実京都大学名誉教授の司会で、西脇純南山大学講師、小川隆宏京都文教短期大学教授、設楽実真如苑総合企画部員、福本康之国立音楽大学音楽研究所員らによって、「宗教音楽の可能性」をテーマにパネルディスカッションが行われた。


新刊紹介

佼成出版社
「原訳『法句経(ダンマパダ)』一日一話」 A・スマナサーラ著
 「お釈迦さまの言葉にもっとも近い経典」と言われるパーリ語の「ダンマパダ」は、日本では「法句経」として知られている。この経典をもとに、スリランカ仏教界の長老が上座仏教のエッセンスを語った説法集。
 仏教の教えを日々の生活に活かせるように、一日一話という形でまとめられている。原文のパーリ語から日本語に直訳された釈迦の言葉には人生の苦難を乗り越え、自分らしく生きるための智慧が示されている。
 著者は13歳で出家得度。国立ケラニア大学などで教鞭をとり、駒澤大学大学院博士課程修了。現在、日本テーラワーダ仏教協会で、瞑想指導と初期仏教の伝道に従事している。(新書版・208頁 定価1155円・本体価格1100円)

星雲社刊
「鋼鉄のシャッター」 パトリック・ライス著 畠瀬稔+東口千津子訳
 北アイルランド紛争は、英国が12世紀にアイルランド島を支配して以来続く、貧しいカトリックと裕福なプロテスタント間の泥沼化した争い。
 1972年、ロジャーズらは、北アイルランドの首都ベルファーストから来たプロテスタント4人、カトリック4人、英国陸軍退役大佐1人と、3日間24時間のエンカウンター(出会い)・グループをもった。その結果、数代にわたる怨念、憎悪、偏見の感情を弱めることができ、いかなる紛争も、誠実で忍耐強い対話によって解決できる可能性を示した。
 本書はその記録であり、現代の紛争解決への大きな示唆を与えている。(192頁 本体1600+税)


書 評

日本文学の名作鳥瞰図
あらすじで読む日本の名著
  小川 義男編
 日本語ブームが続いているが、そのなかでも今年は「あらすじ本」のブームになるのではないかと思えるほど、書店の特設コーナーには、日本や海外文学の名作をダイジェストで紹介し、解説を加えた「あらすじ本」が人気を集め、新刊、復刻版の出版が相次いでいる。
 本書はその草分け本である。国語の教科書で馴染みのある『高瀬舟』(森鴎外)、『斜陽』(太宰治)、『たけくらべ』(樋口一葉)など明治、大正、昭和期の代表的な作品28編を5ページ前後に要約し、「近代日本文学の古典が2時間でわかる」とある。
 編者の小川義男氏は、埼玉にある私立高校の校長で、近頃の高校生が文学から遠ざかっている実状を憂い、
 「文学は重要な分野なのだから『文学に親しめ』と、どれほど強調しても、そのおもしろさに引き込まれて読みふけるというところまでもっていくのはむずかしい。そこで、私は、日本文学の名作鳥瞰図とも呼べるような『あらすじもの』をつくれば、高校生もそのおもしろさ、思想的深さを垣間見て、原作を読んでみたいという気持ちになるのではないか」
 という発想から、自校の教員に呼びかけ、さまざまな教科の教員が、それぞれの心に残る文学作品に取り組み、あらすじを書き上げたものである。
 多くの高校生に、文学に親しんでもらおうと出版した本書であるが、読者層は編者の意に反して、7割が50代以上の中高年であるという。
 私自身、中学、高校の国語の授業ではじめて夏目漱石や武者小路実篤等の作家を知り、その後改めて、それらの作家の作品を貪り読んだ時代を思い出した。
 「読みそこねた名作のあらすじだけでも知っておきたい」「ちょっとした教養を自慢したい」という忙しい現代人には好適なガイドブックかもしれないが、できればこの機会に、心に残る名作を一冊でもいいから、読まれることを勧めたい。(中経出版刊)

(澤木 香子)

不気味な金融馬鹿話
預金封鎖  副島 隆彦著

 昨年12月25日、佐賀銀行で取り付け騒動が発生した。発端は「26日に佐賀銀行がつぶれるそうです」というメールが不特定多数に一斉送信されたことによる。噂は瞬時に広がり、預金引き出し者が殺到。佐賀銀行は、完全な健全銀行なので、翌日には騒動は終息した。
 ネット社会の危うさを実感すると同時に、国民の間に「銀行不信、金融不安」が蔓延していることを如実に示した。
 さて、今年になって、アホみたいな質問を頻繁に受けるようになった。
 「参議院選挙直後に新札が出回る。旧札を新札に交換するのに1〜3割の手数料がかかるらしい。旧札は数カ月で使用禁止になるので、交換せざるを得ない。要するに、1万円が9〜7千円になってしまうらしい。本当ですか?」
 こうした馬鹿な噂の火元は、多分、この本であると思われる。
 本書に関しては、「そりゃ、そうだ。その通り」と思う部分も多々あるが、「なんて馬鹿な話を振り撒いて…、金の延棒屋さんの回し者かしら…」と思ってしまう部分もある。
 国の莫大な借金に関しての本筋の議論は、消費税引き上げと根本的行革である。本書のような、本年夏の新札切換え時の強引手段ではありません。経済小説(フィクション)として読めば面白いのだが、「ひょっとしたら、あるかも知れない」と事実として思ってしまう人も大勢いるようだ。佐賀銀行事件を思い起こすと、馬鹿話も不気味に感じてしまう。なんにしても、あわてて金の延棒や外国債を購入しない方がよい。(祥伝社刊)

(太田 哲二)

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