宗教新聞について


平成17年5月20日

東大寺の聖武天皇祭を見た翌日の早朝、京都から坂本に足を延ばし、日吉大社を訪れた。感動したのは、延暦寺の若い修行僧たちが、白い装束に身を包み、足早にお参りしていたこと。仏教を守る神道という形が、古代のままに今に続いているのを見て、早朝に来てよかったと思った。面白かったのは、日光東照宮の支社である日吉東照宮があるように、全国の神社の支社が設けられていたこと。まさに日本の信仰の源流の一つだ▼気を良くして延暦寺まで登った。山頂はシャクナゲが満開で、これも日ごろの行いが良いせいかと…。学生時代に登ってからだから、約三十年ぶりか。根本中堂の横に宮沢賢治の歌碑が建っていた。説明によると、法華経に熱中した賢治は浄土真宗の父と対立し、周りからも孤立して上京、国柱会に入って思想活動に熱を入れるも、都会で孤独な日々を送っていた。見かねた父が賢治に延暦寺参詣を勧め、一緒に根本中堂を訪れたのがきっかけで、もっと広い人類愛的な世界に目覚めたという▼うれしかったのは父と断絶したままだと思っていた賢治が、和解していたこと。また、賢治の豊かな世界の背後に父の支えがあったこと。子供を信じる親であらねばと思った。

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