宗教新聞について

平成17年9月5日

 八月半ば過ぎの週末、天地子の実家近くの八坂神社で秋祭りがあった。地域の神社では一番早く、町内の神社で十月末ころまで祭りが続く。昔は浪曲師や講談師を招き、露店も出て賑やかだったが、今は訪れる人も少ない。それでも、自治会の世話役がうどんやかき氷の店を出し、地元バンドの生演奏で歌謡大会が催された▼この八坂神社は通称「お天王(てんの)さん」と呼ばれている。この天王は牛頭天王(ごずてんのう)のこと。もともとインドの祇園精舎の守護神で、素盞嗚尊と習合した。備後国風土記には武答天皇の太子として登場し、牛頭天皇と表記される。疫病を防ぐ神として平安時代に信仰され、祇園御霊会(祇園祭)において祀られるようになった▼祭神としては八坂神社・津島神社・氷川神社などに祀られているものが代表的で、天王神社・天王杉神社など、牛頭天王を祀った神社は今でも全国各地に点在している。ところがわが八坂神社では牛頭天王は外され、素盞嗚尊のみ祀られている。これも明治の神仏分離のためで、その影響が全国隅々まで及んだことがうかがえる▼神事が終わったころ、財務省を退官し、民主党から出馬することになった三十六歳の男性があいさつに来た。地元出身で中学校の後輩だという。この間まで予算編成をしながら、七百兆円を超える借金を抱え、この国はどうなるのかと心配になったとのこと。古い伝統を守りながらも、常に作り変えていかなければならないのが、この世なのだろう。

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